4つめのフレームは「不動産の特性」(契約フレーム)である。
先に挙げたフレームは法律等の枠組みの中で投資法人の内部で形成されるフレームだが、ここで説明する契約フレームはテナントなどの外部との関係において形成されるフレームである。
Jリートは証券取引所を通じて通常の株式と同じ売買ルールで取引される金融商品であるが、分配金の原資となる賃料収入は実物不動産と同様、不動産賃貸によって得られる。
不動産賃貸は、テナントとの賃貸借契約やPM会社との管理委託契約など各種の契約を締結して運用されており、資産運用会社はアセットタイプの違いによる「不動産の特性」に応じて、「投資法人のガバナンス」「投資法人の不動産運用」の枠組みの中で策定された運用計画を個々の契約に落とし込み、リスク・リターンのフレームを明確にしている。
運用計画が個々の契約に反映されていなければそれは資産運用会社による独善的な運用であって、不動産金融商品の運用とはいえず、投資家保護は機能していないことになる。
「不動産の特性」は、オフィスや商業施設などアセットタイプによって異なり、不動産市況によっても変化する。締結された個々の契約は投資法人の収益の安定化だけでなくテナント等の経済基盤の安定化の役目も果たしており、契約者双方の同意がなければ変更することができないフレームである。
ここでは、「不動産の特性」について整理する。